<< ハッピハロウィン! | main | もんもんとする。 >>


#2011.04.25 Monday    スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - |


#2010.11.16 Tuesday    food-fight!(pumpkins)
 自分の教訓。マクはいつだって二人が大好き。





 白地に橙のラインが入った皿に、行儀良く盛られた料理達が大挙して押し寄せてきた。
 ガーリックソースが控え目に掛かったハンバーグは形は悪いが、ふっくらとしていて色味が良い。狐色に染め上げられたフライの出来は感心する。その横にはハッシュドポテトとブロッコリー、スウィートコーンが置かれ、別の皿にはパンが四つ、はみ出さんばかりにある。山盛りのフライドポテト、スープカップに並々注がれたコーンポタージュ、それと、餃子。
「……確かに頼んだのは俺だ」
「そうだな、頼んだのはマークだ」
 斜め向かいの椅子に座り、硝子作りで背の高いパフェグラスの中身を口に運んでいるミケーレが、当然のように言い放つ。生クリームたっぷり、果物たっぷり、ついでに手製のプリンまで乗っているパフェは、見ているだけで内臓が悲鳴を上げる。
「頑張ってハンバーグ作ったのよ。ちゃんと中にチーズも入れたし」
「形が悪すぎるがな、焼いたのは僕だし」
「これでも努力したんだから! 普段作らないんだから及第点ぐらい頂戴よ」
「普段から作れば良いじゃないか、人に頼らないで」
「だって、ミケーレのご飯、美味しいんだもん」
 まろやかな黄色で包まれたオムライスの中身はケチャップライスで、クリーム仕立てのトマトソースが掛かっている。小さな手に持たれたスプーンでオムライスを掬い、頬を膨らませてカミーラは拗ねていた。
 何だか口許が引き攣っていく気がするが、多分気のせいじゃないだろう。目の前の料理は育ち盛りの青年が食べるには、品目的には有り得るかも知れないが、量が有り得なかった。それに、今は胃が狭まっているところだというのに。
 図書館に飽き飽きしていたところに、父が読み終わったといって持ってきてくれたのがタイラーの書物だった。まだ目を通したことがないもので、数冊に渡って綴ってあったその論書に興味を示したのが抑もの始まりだった。自分は、一度のめり込むと帰ってこない。特に民俗学、アニミズム関連のものに滅法弱い。習性は判りきっていたが、回避する気が更々ないのだろう、毎回の様に同じ状態に陥る。
 読み始めたのが確か四日前だっただろうか。それから睡眠と食事、諸々の生活を忘れて、今に至る。健康状態としては最悪だろう。目の下には薄い隈が出来ていたし、胃の中も空っぽで少し気持ちが悪い。
「大体、マークが悪い」
 ぴ、とフォークに刺さった苺を向けながらミケーレがこちらを睨んでくる。カミーラも、横でうんうんと頷いて同意している。
 四日間、家に籠もりっきりだった。学業を疎かにしていた訳ではない。適当に授業に出て、さっさと自宅に帰っていただけで。放課後はこの家に三人で集まるのが常だったが、この四日は、家に二人は来ても、自分は自室で本ばかり読んでいた。二人は自分のそういう気質を知っているので、夕食だけ用意して帰っていってくれていた。見事にその料理は駄目にしてしまったが。
「そう怒るなよ、ミケーレ……」
「怒って当たり前だ。言っておくが作ったものを駄目にしたことはどうでもいい、食べないことが悪いんだ。そんな隈まで作って、限度を知れ」
「お前だって同じだろ、熱中すると」
 指摘されて、弟は沈黙した。ほぼ同じ遺伝子を持っているから同じなのだ。
 兎にも角にも、毎回結果は同じだ。
「それに、これ頼んだの、マークじゃない」
「判ってる、そこは判ってるんだカミーラ、でもな、俺だってこんなに量が出てくるとは思わなかったんだ……!」
「マークが言ったんだろう」
「それは言った! 言ったけどな、その場の雰囲気とかあるだろ? それにあれだけの品数注文したんだ、量とか考えてくれるかと……」
「そんなものは知らない」
 ダイニングテーブルの上に列挙された料理の数々は、マークが数時間前に注文したものだった。あと少しで読み終わるというところで、急に二人に部屋に押し入られ、本を取り上げられ、挙げ句燃やすとまで脅されて言わされたものだった。これは脅迫なのではないのかと疑問にも思ったが逆らえない。何せ、自分の愛する弟と幼馴染みの好意なのだし。
 引き替えに本は最後まで読ませて貰ったが、交換条件が、出された料理を全て食べきることであった。
 ミケーレの後ろに見えるキッチンシンクに大量に沈んでいる鍋やフライパン、その他の調理器具。弟は、手先が器用なのか料理上手だった。菓子も作れる。(こちらは本人の好みで上手くなったのだろうけれど)マークは弟の料理が好きだ。味が、実母に近いこともある。几帳面な性格が表れている丁寧な作りに、細やかな味付けや飾り付けなど、感嘆に値すると思っている。それでも、四日間使っていなかった胃に、目の前の量は考えられない。
「でも、餃子はないと思うわ、この組み合わせに……」
「……そうか? 別に普通だろ? 餃子だし」
 弟の深い溜息が聞こえたが、余り気にしない。何せ餃子は好物だ。異国の料理は大好物だ。
「いいから、さっさと食べてくれ。冷める」
「そうよ、ミケーレとわたしが頑張ったんだから、食べて貰わなくちゃ」
「俺としては数日に分けて食べたいなって思うだけど、どうだろう……」
 ぐったりとしてテーブルに突っ伏してみる。しかし、向かい側からは、四日分の栄養を取り戻して貰わないと、と無情な声が響いてきた。いきなり四日分を胃に入れてみろ、そっちの方が身体に悪い、とは言えない。
「食べるまで今日は帰らないからな」
 さっさとパフェグラスを空にした弟が、したり顔でとどめを刺してきた。


2010.11.15. (food-fight!)

だって相棒a子が、カミたんが捏ねてくれたハンバーグだよって言うから……!
今日友人とa子とガストでごはん食べてきたときに出たネタです。頼みすぎた自分が悪いという。マクはミケとカミたんが作ったものなら結局残さず食べるよ。俺の胃袋は宇宙だって最後は言いだすよって^^^^
自分もカミたんとミケが作ってくれたものなら全部食べる。その妄想で全部食べた。痛い。

| text | comments(0) |


#2011.04.25 Monday    スポンサーサイト
| - | - |


comment


コメントする